外ではコオロギが鳴いて、台風は少し落ち着いているように思えます。そんな今日は書いておきたかった本の話を。
「成瀬は天下を取りにいく」は、さすが本屋大賞受賞と納得できる読後感のさわやかな作品でした。浅過ぎず軽やかで眩しくて一気に読了。続編への期待も高まります(まだ買えていません)。
もう一冊、「決断」は帯にも書いてありますが、そごう・西武のストライキ実施までの実録。全部実際に起こったことなのですが、まるでドラマだと感じながら1週間かけて読みました。
「成瀬は-」の冒頭では、西武大津店の閉店にまつわるエピソードが出てきます。2020年8月31日、時を同じくして閉店したそごう徳島店の思い出と重なる場面です。「決断」にも、西武大津店とそごう徳島店の閉店に関する経緯が書かれています。あるいは今も徳島にそごうがあり続ける未来があったのかもしれないと思うと、何ともいえない気持ちになりました。
百貨店の思い出は、自分の頭の中でも特別な場所に保存されているように思います。小説とドキュメンタリー、ジャンルは違う2冊のページを追いながら、様々な懐かしい記憶が久しぶりに浮かんできました。
現在、西武池袋本店(「成瀬-」にも出てきます)は改装中なのだそうです。スイーツ売り場は7階で仮営業中とのこと。改装後、あの素敵なお菓子(とパッケージ)の博覧会のようなデパ地下に再び会えることを願っています。
自分にはどうにもできないけれど誰かに話したい・聞いてほしいという、あらすじのない読書感想文でした。